フィンランド・デザイン・ミュージアムとイッタラのアーカイブから450点以上の作品を紹介。イッタラというブランドをより深くできる大規模な展覧会となっています。
今回は展覧会の模様をレポートするとともに、改めてイッタラというブランドの魅力について解説。また表参道にある「イッタラ表参道ストア&カフェ」にも行ってきたので、その模様もお届けします。
イッタラファンはもちろんのこと、インテリア雑貨・ガラス小物ファンならぜひ行ってみていただきたいですね。
iittala(イッタラ)とはどんなブランド?
改めて説明するまでもないかもしれませんが、『iittala(イッタラ)』とは140年の歴史を誇る北欧フィンランドのライフスタイルブランド。1881年にフィンランド南部イッタラ村のガラス工場からスタートしました。ガラス製品で世界的に有名ですが、アラビアほか様々なブランドと統合・合併を繰り返し、現在はフィスカースグループの一員。ガラス製品に留まらず陶磁器なども含めた文字通り「ライフスタイルブランド」としての地位を確立しています。
日本でも北欧ブームが起こってからはもちろん、そのずっと昔から注目されており何度も展覧会が開催。また日本との結びつきという意味でも、イッタラのデザイナーたちが日本文化に影響を受け、日本的な要素を含んだデザインも数多く発表されています。
イッタラ展の開催場所は?
渋谷・道玄坂の東急Bunkamura ザ・ミュージアムにおけるイッタラ展は2022年9/17(土)から11/10(木)までの開催です。
場所:Bunkamura ザ・ミュージアム
住所:〒150-0002 東京都渋谷区道玄坂2-24-1
営業時間:10:00-18:00(入館は17:30まで)毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)
主催:Bunkamura、フィンランド・デザイン・ミュージアム、朝日新聞社
特別協力:Iittala
後援:フィンランド大使館
www.bunkamura.co.jp
Bunkamura入り口には、オイバ・トイッカがデザインした「カステヘルミ(露のしずく)」シリーズのキャンドルホルダー325個で作られたタワーが展示されています。このシリーズのカラーバリエーションの豊かさが感じ取れますね。
会場入口では、アルヴァ・アアルトがデザインした通称「アアルト ベース」を集めた「アルヴァ・アアルトコレクション」がお出迎え。展示内容への期待を高めてくれます。
イッタラ展の展示内容は?
※残念ながら展覧会場で写真撮影ができる場所は限られているので、テキスト主体の紹介になることをお許しください。
イッタラ創業期からの歩み
まずは、イッタラの140年の歩みを数々の写真や資料とともに時系列で展示。創業期の、今見ると「イッタラらしくない」ようなプロダクトも紹介されています。
イッタラと「レジェンド」デザイナーたち
イッタラの歴史は多くの有名デザイナーとともに語られます。会場では、前述のアルヴァ・アアルトを始めとした代表的な「レジェンド」デザイナーたちの作品と、イッタラとの関わりが詳しく分かるように展示されていました。
イッタラを語る上では欠かせない代表的な8人のデザイナーは以下のとおり。
アルヴァ・アアルト
アイノ・アアルト
カイ・フランク
ティモ・サルパネヴァ
タピオ・ヴィルカラ
オイバ・トイッカ
アルフレッド・ハベリ
ハッリ・コスキネン
各デザイナーの詳細は他に詳しく説明しているサイトが多くあるでしょうから、そちらに譲ります。というより、むしろこのイッタラ展を実際に見て深く知っていただきたいですね。
もちろんジャスパー・モリソンなど、上記以外のデザイナーの作品も展示されています。
イッタラを読み解く13の視点
次に、イッタラの芸術性をさまざまな角度から紐解くパートが展示。ここがメインパートのようで、実際のプロダクトや動画での解説、ガラス職人が使う道具などを見ることができます。
イッタラと日本
終盤にはイッタラと日本との関わりが分かる展示が。1950年代など古い時代から、近年ではイッセイミヤケやミナ・ペルホネンとのコラボレーションも紹介されています。ミナ・ペルホネンのデザイナー・皆川 明氏のインタビュー動画なども。
イッタラ展の魅力
会場は入場規制がかかるほどの大盛況。イッタラが好きな人には十分すぎるボリューム(筆者は余裕で1時間以上観覧しました)なのに加え、出口には実際にイッタラのプロダクトを買うことができるブースも。
イッタラの技術と哲学・デザインの美学に迫る「展覧会図録」をはじめ、Tシャツ(全5種)・トートバッグ(全4種)・マグネット(オイバ・トイッカモデルが全10種、その他全4種)・ピンズ(全10種)・てぬぐい(全2種)・ノート(全3種)・ポストカード(全16種)などなど。ファンであれば思わず財布の紐が緩んでしまうような品揃えですね。
目玉は展覧会限定アイテムのアアルト・ベース「クリア1937」でしょうか。1937年発売当時の特別な色「クリア1937」を復刻したもので、本展覧会を記念した特別アイテムとなっています。
展示されているものの中にはもちろん一般人には手に入れることができないようなものもあったでしょうが、多くのアイテムがそれほど高価な額を出さずとも実際に買えるというのもこの展示会の魅力でしょう。展示を観たあと「欲しい欲」が高まっている状態で買えるなんて、ある意味罪作りです(笑)。
イッタラ表参道ストア&カフェにも行ってきた
さて、せっかくなので渋谷から一駅、表参道にあるイッタラ表参道ストア&カフェにも足を延ばしてみましょう。名前どおりカフェが併設(世界初だそう!)されており、フィンランドのライフスタイルや食文化を体験できます。内装は著名な建築家である隈研吾氏がデザイン。フィンランドの自然からインスパイアされた、木を有効に使ったインテリアとなっています。またここでしか手に入らない限定デザインのアイテムがあるのも魅力。
イッタラ表参道ストア&カフェの場所は?
イッタラ表参道ストア&カフェは表参道駅から5分ほどの場所にあります。
イッタラのほぼ全てのプロダクトを購入できるのはもちろん、前述したように限定アイテムも。最新の商品をいち早く手に入れることができるのも魅力ですね。
おしゃれなだけでなく非常に心地いい空間。上の方のYouTubeで語られているとおり、北欧の癒やし…忙しい街・東京の中にあって日本人が必要としているものが見つかるような、大げさですがそんな気持ちになりました。
イッタラのロゴマークシールは剥がすの?剥がさないの?
最後に、イッタラのプロダクトを手に入れた人の多くがぶち当たる問題「このロゴマークシール剥がすの?剥がさないの?」についてです。ティモ・サルパネヴァがデザインしたイッタラのロゴマーク「i」。吹きガラスをつくる時に息を吹き込むパイプと、その先にあるガラス玉をイメージしたものだそうで、イッタラのまさにトレードマークとなっていますね。
さて、このせっかくのかっこいいロゴマークですが、ただのシールといえばシール。剥がして使ったほうがいいのでしょうか?
実は表参道店の店員さんによれば、質問があった場合は衛生的な面も考慮して「一応」剥がすことを推奨しているそう。ただ、本国フィンランドでは、ほとんどの人が剥がさずそのまま使用しているそうです。
このへんは好みになってくるかと思いますが(剥がすとイッタラかどうか全然分からなくなってしまうアイテムもあるといえばあるので…笑)、剥がしたくなければそのまま使っちゃいましょう。筆者も今回表参道店で一品購入しましたが、剥がれかけてくるまではそのままにしておこうと思っています。
画像撮影:inzak編集部