今年も多くのデザインが賞を受賞。受賞したデザインを公開する「GOOD DESIGN EXHIBITION 2021」がミッドタウンで開催されています。
今回はエキシビジョンの様子をリポート。グッドデザイン賞のコンセプトやどんなデザインが選ばれているのかを解説していきたいと思います。
グッドデザイン賞とは?
グッドデザイン賞は1957年に通商産業省によって創立された「グッドデザイン商品選定制度」を公益財団法人日本デザイン振興会が承継し、1998年に新たにスタートした制度です。通商産業省によれば、単に美しさを競うデザインコンペではなく「優れたデザイン」を社会に普及させていくことで、私たちの生活をより豊かにすることと、産業の発展とを同時に後押ししようとする活動とされています。
またグッドデザイン賞はかたちのあるもの(製品、プロダクト)だけを扱うわけではありません。建築・ソフトウェア・システム・サービス・地域づくりなどのコミュニケーション活動・ビジネスモデルや研究開発の取り組みなど、くらしに関わるさまざまなことをデザインととらえて評価しています。
審査に関しては、色彩や形状などの目に見える部分のデザインだけでなく根底にある目的達成にむけたプロセス・思想・意義など目に見えにくい要素を含めてさまざまな面を考慮し、総合的に判断しています。
グッドデザイン賞の理念
グッドデザイン賞では、常に我々が向き合うべき根源的なテーマとして5つの言葉を「グッドデザイン賞の理念」として掲げています。
人間(HUMANITY) もの・ことづくりを導く創発力 本質(HONESTY) 現代社会に対する洞察力 創造(INNOVATION) 未来を切り開く構想力 魅力(ESTHETICS) 豊かな生活文化を想起させる想像力 倫理(ETHICS) 社会・環境をかたちづくる思考力
審査を通じて新たな「発見」をし、Gマークとともに社会と「共有」することで、次なる「創造」へ繋げていく仕組みのための理念です。
受賞の証・Gマークとは
受賞した証であるGマーク。1957年に日本を代表するグラフィックデザイナーの亀倉雄策氏がデザインしたものです。調査では国内において79%%という非常に高い認知率を誇り、58.5%の生活者がGマーク商品を「魅力ある商品」として購入時の選択に影響があると述べています。
参考:グッドデザイン賞とは
GOOD DESIGN EXHIBITION 2021の様子を紹介!
すでに上のほうでも展示の様子を写真で紹介していますが、より詳しくご紹介していきます。会場は東京ミッドタウン・デザインハブです。
住所:〒107-6205 東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウン・タワー5F
会期:10月20日(水)~11月21日(日)
営業時間:11:00 – 19:00
会期中無休・入場無料
https://designhub.jp/exhibitions/7132/
会場内では大小さまざまなプロダクトが展示されています。壁際には建築やまちづくりのデザインなどがパネルとタブレットによる解説動画付きで展示。
写真では載せられませんが、平日の15時くらいでも老若男女問わずたくさんのお客さんが見に来ていました。展示物を見ながら真剣に話しているグループや小学生くらいの子供たちを連れたお母さん、失礼ながらギャルっぽいお姉さんまで(笑)こんな人も来るんだ!という人でもじっと説明文や展示物を眺めていました。
実際に手に入れられるグッドデザイン
それでは、一応インテリア雑貨おすすめサイトである(笑)当サイトの趣旨に合ったアイテムで、実際に購入できるアイテムを紹介しましょう。
鉛筆とシャープのいいとこ取りアイテム
鉛筆とシャープペンシルの良さをあわせ持つ、コクヨの『鉛筆シャープ』。「折れにくい」「芯が尖る」などの不満を、鉛筆の要素を取り入れることによって解消しています。機能性だけでなく、デザインの美しさも評価されました。
発達障害当事者の声から生まれたノート
『まほらノート』は、発達障害当事者が既存のノートに感じている不自由さについて聞き取りをし、そのフィードバックをもとに開発されたノート。結果、発達障害の人だけでなくすべてのユーザーにとって使いやすいプロダクトとなりました。
サスティナブルな接着剤
可能な限り天然由来の材料を使い、サステイナブルな地球環境保護を考慮した接着剤。また特徴でもある3段階のノズルは使いやすさだけでなく、楽しさも与えていると評価されました。
インテリアとしても飾れる積み木
吉野杉・吉野檜で作られた多面体の積み木。ランダムにカットされているため、より創造的な感覚を養うことができます。マットで美しい色味と質感はインテリア性も備えているのもポイント。子供だけでなく大人でも楽しめます。
冷蔵庫の在庫管理に。
上に置いた食品の重量から残量を検知し、外出先からでもスマホアプリを使って確認できる重量検知プレートです。フードロスが減らせ家計に優しいところが評価されています。通知機能で買い忘れや使い忘れを軽減、利用期限が近づいたらお知らせしてくれるほか週の消費量も分かるなど「冷蔵庫の中革命」が起こるかもしれない可能性を秘めたプロダクトです。
調理もできる炊飯器。
アプリと連携し、炊飯だけでなく調理もできる炊飯器です。外出中でも炊き上がり時間を操作できるほか、洗う必要のある部品を減らして、毎日のお手入れを楽にしてくれるなどこだわりが詰まっています。週末に冷凍モードでご飯を炊き、平日は煮物などのおかずを調理するなどもはや炊飯器という名前にとどまらない進化を遂げたプロダクトです。
GOOD DESIGN EXHIBITION 2021を実際に見て
今回のエキシビジョンを見に来ている人たちを見ながら思ったのは、普段わたしたちが意識していなくとも、デザインというものに心力を注ぎ、常に最前線を見ながら未来を考えている人たちは意外に多くいるということ。もちろん会社の利益のためでもあるでしょうが、それ以上にデザインというものに対する高い意識を感じました。
陳腐な言い方になってしまうかもしれませんが、デザインというのは人の心から生まれるものであり、心のチカラの結晶なのだなと。AIがデザインをするようになる未来はいつかは来るのかもしれませんが、展示されているものから人々の心のチカラを感じた今、その未来はまだまだ遠い先なのかなという気がします。
グッドデザイン賞公式サイトはコチラ撮影:inzak編集部