忘れもしないあれは1990年、小学校2年生のときのこと。母がもらってきたマグライトのソリテール。その小さな懐中電灯に僕は衝撃を受けました。
見るからに頑丈そうな、無骨な黒いボディ。ヘッドを回すだけでON/OFFや焦点調整ができる。ヘッドを外してキャンドルのように灯すこともできる。フタ(テールキャップ)には予備電球も入っている。シンプルな形のなかにギミックが詰まっている。
こんな小さいのにすごい!と、当時の僕は毎日のようにソリテールを触ってはニヤニヤしていました。
2000年代に入ると、LEDが普及しはじめ、懐中電灯もLEDタイプが一般的に。
世間はLED懐中電灯。でも僕が大好きなマグライトはLEDに対応しない。なぜなんだ?それもマグライトのこだわりなのか。
マグライトひと筋と心に誓ってはいるものの、やっぱり隣の芝生が気になって、他メーカーのLED懐中電灯に手を出したこともありました。でも、他のライトはしっくりこない。やっぱりマグライトじゃないとダメなカラダになってしまっているのです。マグライト、頼むよ……。
そんなマグライトも2007年、ついにLED懐中電灯を発表したという朗報が!
すごい。これまでと何も変わっていない。もちろん、白熱球と比べたら明るさは雲泥の差。信じられないくらい明るいし、中身はものすごく進化している。それでも感じたのは、何も変わっていなかったということ。これはすごいことだと思うし、ずっと好きだったものが、ブラッシュアップされても形や手触りが変わらなかったことがとても嬉しかった。
マグライトが作った懐中電灯の完成形。LEDになってもこれまでと同じマグライトでした。
世の中には安くて便利な懐中電灯がいっぱいあります。それでも僕はマグライト。
写真撮影:ハマ