今回は、東京・表参道にある「中川政七商店 表参道店」店長の今井さんに、定番のキッチン用品をお聞きしました。
店長のおすすめ!中川政七商店で人気の台所道具5選
ロングセラーの花ふきん
「花ふきんは中川政七商店の一番のロングセラー商品です。乾きやすくて、吸水性もあって、通気性もあるので、発売当初から多くのお客様にご好評です」
「薄手で大判な花ふきんは、重ねて拭けばすぐに水が取れて、乾かすときは広げて干せば乾きやすくなります」
この花ふきんに使われている蚊帳生地は、もともと中川政七商店創業の地、奈良の特産品。日本人の暮らしぶりが変わったことで、需要が減ってしまった蚊帳の生地を活用するために花ふきんは生まれました。パッケージを改良した程度で、ふきん自体は発売当初からずっと変わっていない息の長い商品です。
「柔らかい生地を作るために、糸一本一本に糊をしっかりつけてから織っているので、最初はバリバリと固い状態です。何回か洗うことでふわふわになりますが、逆にこの固いふきんをカゴの上に目隠しとして被せることもできます」
「お料理で出汁を濾す作業のときに使ったり、くたびれてきたら雑巾にしたり。また、お弁当包みにしたり、首に巻いて汗取りとして使われるお客様もいらっしゃいます。アイデア次第でいろいろ使えるのが花ふきんの魅力です」
納豆の消費量が増える?なっとうバチ
「かもしか道具店の『なっとうバチ』は、納豆をストレスなく食べるために作られた小鉢です」
「内側に少しだけ溝がついていて、ちょっと混ぜただけでふわふわにできます。持ち手がついているので、混ぜるときも安定して混ぜやすく、手にも納豆がつきません。さすが納豆専用だなと使ってみて思いました」
「また、素焼きの素材と溝のおかげで納豆の粘りがつきにくく、洗うときもぬるつきが落ちやすく簡単です。このなっとうバチを使い始めてから、納豆の消費量が増えました(笑)」
「サイズは2種類あります。卵やネギなどの薬味も入れたいという方は大きいサイズ。納豆だけで食べるという方は小さい方で使い分けてみてください」
食洗機で洗える漆椀
「商品名にもなっていますが、食洗機でも洗えるのが特長の漆のお椀です。福井県鯖江市で代々漆業に携わっている漆琳堂と、福井県との共同開発で、食洗機の熱や水圧に耐えられる天然本漆を開発しました」
「サイズは小・中・大・大椀の4種類あります。特に人気があるのは大椀のサイズですね。漆の器でここまでの大きさのサイズはあまりないので、うどんやお蕎麦などを召し上がるときの麺鉢として人気です」
「小サイズの器も汁物だけではなくて、和え物を入れたり、ご飯をよそったりといろいろ使えます」
「入れ子で収納できるので、ご家族分で揃えても収納スペースを取らないところもいいですよね」
溝がない画期的なすりバチ
「かもしか道具店のすりバチは、溝がついていなくても擦れるすり鉢です。溝に詰まっちゃって洗うのが面倒という方も多いと思いますが、これは溝がないので洗う時にすごく楽なんですよ」
「安定感がある形なので、片手でも簡単に擦れるところもポイントですね。また、すり鉢は大きいサイズが多いと思いますが、これは食器棚のなかでも場所も取りません」
「溝がないので、このまま器として使っていただけます。例えば、胡麻を擦ったあとに、ほうれん草を入れて和え物を作って、そのまま食卓に出すこともできます」
「すりコギは、このすりバチに合わせて専用に作ったものです。せっかくならセットでというお客様もいらっしゃいますね」
実はこのすり鉢、かもしか道具店が使用している釉薬の粉を調合する鉢があり、『そういえばこの鉢は溝がついてなくてもちゃんと擦れてるな』という発見から発想を得て開発したそう。すり鉢を現代の生活に取り入れてもらいやすいように考えられています。
塩をさらさらに保つ塩壷
愛知県にある「焼き物の街」常滑(とこなめ)。その常滑で3代続く窯元の「山源陶苑」と一緒に作った塩壺です。
「陶器でできている塩壷は、吸湿性があって、湿度を調湿してくれるので、お塩を入れていても固まらず、さらさらのままキープできます。お店で展示しているサンプルの塩壺には、4ヶ月くらい塩を入れていますが全然固まっていません」
「お料理のときにぱっと開けて使えるよう、フタも軽くなっています。いろいろな塩を使っている方は色違いの塩壺にしたり、シールを貼ったりして使い分けてもらってもいいと思います」
「塩さじは、小さじ1のサイズと小さじ1/2のサイズの2種類があります。普通の計量スプーンだと柄が長くて容器に入れづらかったり、容器いっぱいに入れるとスプーンを入れるスペースがなかったりしますが、この塩さじは小ぶりで柄も短いので、収納にとても適した形です」
定番商品には愛される理由がある
日本に古くからある素材や製法を、現代の生活でも使いやすいように工夫を凝らした中川政七商店のキッチン道具たち。さまざまな技術や知恵が詰め込まれているからこそ、ずっと使いたい定番として愛されているんだなと感じました。
撮影:inzak編集部
※表参道店は2020年をもって閉店しています。
住所:東京都渋谷区神宮前5-43-7 1F
営業時間:11:00~19:00